
こんにちわ!こんばんわ!よしこです!
今日は精神科訪問看護師が経験する
こころをえぐられる話です。
「あなたしか信用できません」と言っていた人が、翌日「もう来なくていい」と言った話
精神科訪問看護をしていると、一度は経験する場面があります。
「あなたしか信用できません。」
そう言っていた利用者さんが、翌週には
「もう来なくていい。」
「何もしてくれなかった。」
「市役所に電話する。」
と180度変わる。
新人の頃は、本気で落ち込んでいました。
「私、何か悪いことしたかな。」
「どうしてこんなに怒られるんだろう。」って。
でも経験を積むと、少しずつわかってきます。
これは看護師としての評価ではなく、
「関係性の中で起きている現象」なのだと。
今日はそのことを、正直に話そうと思います。
こんなことがありました
ある日の訪問中、利用者さんが体調を崩しました。
スタッフは状況を確認しながら、手元のスマホで時計を確認していました。
急変時は呼吸が結構重要です。
呼吸数を測るのにスマホの時計を使います。
また次の訪問の時間を気にしながら、できることを考えていたんです。
ところが後日、こんな言葉が返ってきました。
「あの時、放っておかれた気がした。」
「スマホばかり見ていた。」
「私のことより他のことが大事なんでしょ。」
スタッフは驚きました。
時間を確認しただけなのに。
一生懸命対応していたつもりなのに。
「え?そんなふうに思っていたの?」
事実だけ見れば、「そんな言い方しなくても」と思ってしまう。
でも精神科では、事実だけでは説明できないことがたくさんあります。
言葉の奥にあるものを見る
ここで立ち止まって考えたいのは、その言葉そのものではなく、その奥にある感情です。
「放っておかれた。」
本当に伝えたかったことは、何だったのでしょう。
「もっと心配してほしかった。」
「私は大事にされていない気がした。」
「見捨てられた気がした。」
そういう感情だったのかもしれない。
「スマホを見ていた。」
も、事実を責めているというより、
「私だけを見ていてほしかった」という寂しさの表現だったのかもしれない。
精神科では、怒りの言葉の奥に、不安や悲しみや孤独が隠れていることが少なくありません。
理想化があるから、こき下ろしが起こる
実はこの利用者さん、それまでスタッフのことをとても信頼していました。
「あなたがいてくれてよかった」
「あなたしかわかってくれない」
そういう言葉を何度もかけてくれていた。
だからこそ、期待も大きかったんです。
期待が大きいほど、少しのズレが
「裏切られた」という体験になってしまう。
つまり、理想化された相手ほど、こき下ろされやすい。
これ、精神科では珍しいことじゃないんです。
「理想化とこき下ろし」
特定の疾患に限った話でもありません。
人間関係の中で、誰にでも起こりうることです。
ここで看護師はえぐられる
わかっています。頭では。
でも、看護師は人間です。
一生懸命関われば関わるほど、傷つきます。
「あんなに頑張ったのに。」
「毎週訪問していたのに。」
「何時間も話を聞いたのに。」
そんな気持ちになります。
そして患者さんの一言で、自信を失う人もいます。
精神科を辞めたくなる人もいます。
バーンアウトする人もいます。
これ、意志が弱いとか、メンタルが弱いとか、そういう話じゃないんです。
それだけ真剣に向き合っているから傷つく。
傷つくのは、ちゃんと関わっている証拠だと思っています。
スタッフ同士で振り返ったこと
この出来事のあと、チームで話しました。
「なんであの場面でそう感じたんだろう。」
「スマホで時間を確認した瞬間、自分より他のことを優先されたって思ったのかもしれない。」
「あぁ、なるほど。」
その一言で、責められた出来事が、少し違って見えました。
もちろん、利用者さんの言動がすべて正しいという話じゃない。
でも「なぜそう感じたのか」を考えると、必要以上に傷つかなくなります。
「あなたが悪い」でも「患者さんが悪い」でもなく、
「何が起きていたのか」を考える。
この視点が、精神科では本当に大切です。
それでも境界線は必要
だからといって、何でも謝るわけじゃない。
何でも受け入れるわけでもない。
電話を切られる。
暴言を言われる。
「市役所に苦情を入れる」と言われる。
そんな時は、必要以上に追いかけない。
もちろん安全確認はします。
必要な連絡はします。
でもそれ以上は追わない。
「今は距離を置こう」と判断することも、立派な看護だと思っています。
「放っておく」は冷たいのか?
こう言うと、「冷たいんじゃないか」と思う方もいるかもしれません。
でも精神科訪問看護では違います。
何度も電話する。
何度も謝る。
何度も機嫌を取る。
これを繰り返すと、利用者さんにとっても看護師にとっても、健全な関係ではなくなります。
安全は確認する。
必要な支援は続ける。
でも感情には振り回されない。
この距離感がとても大切なんです。
看護師が潰れないために
わたしは後輩にもよく言います。
「これくらいの感覚でいないと、精神科看護師は続かないよ。」
患者さんを大切に思う気持ちはもちろん必要です。
でも患者さんの感情を全部背負っていたら、必ず看護師が先に潰れます。
患者さんの怒りは、必ずしも看護師個人への評価じゃない。
その時の不安や苦しさが、一番近くにいる看護師へ向けられることもある。
だからこそ、チームで振り返って
「何が起きていたんだろう」と考えられる環境が大切なんです。
一人で抱えないでほしい。
これ、利用者さんだけじゃなくて、看護師にも言いたいことです。
理想化されても舞い上がらない、こき下ろされても潰れない
精神科訪問看護は、利用者さんを支える仕事であると同時に、看護師自身の心を守る仕事でもあります。
理想化されても舞い上がらない。
こき下ろされても、自分の価値まで否定されたと思わない。
言葉の裏にある思いを考えながらも、必要な境界線は保つ。
そのバランスは簡単じゃない。
でもこの「近づきすぎず、離れすぎず」の姿勢こそが、長く精神科訪問看護を続けるための土台になると思っています。
えぐられながらも、続けていける看護師でいたい。
そのためにわたしは今日も、グレーのソリオでピンポンを押しに行きます。
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