消化器外科ってどんなところ
消化器とは、食道、胃、大腸、肝臓、膵臓といった食物の消化・吸収に関する臓器です。
すなわち、食道、胃、十二指腸、肝臓、胆嚢、膵臓、小腸、大腸、直腸、肛門の良性疾患、および悪性疾患(癌、肉腫)の手術、治療をおこなうところが消化器外科です。
人工肛門増設(ストマ)やCVポートなど、学びのおおい病棟です。
術後、禁飲食となる期間があるため、点滴管理が必須です。
消化器外科との出会い。Y子の場合
わたしが外科病棟にいたのは新人のころ、国家試験に受かってすぐでした。
わたしは終末期病棟を希望したのですが、希望は通らず、まぎゃくの急性期病棟に配属されました。 実習にも行ったことのない病棟でした。
消化器外科の住み心地
消化器外科は毎日手術です。 痔、鼠径ヘルニアと比較的小物のオペから、胃がん、大腸がん、すい臓がんと大変なオペまで毎日4~5件ありました。
手術室への申し送りや、術前術後の管理は神経をすり減らしますが、活気があって楽しいところです。
わたしは文科系ですが、体育会系の方には、とてもおすすめな病棟です。 病棟柄、サバサバした先輩も多かったので、過ごしやすかったです。
消化器外科看護のじっさい
8:30~ 申し送り
チームに分かれ夜勤者から申し送りをうけます。その日のToDoや、看護計画を立てていきます。
9:00~ オペだし
手術室へベットごと移動します。 ベットからベルトコンベアにような台にのって、手術室のストレッチャーに移動します。
その後、緊張のオペ室への申し送りです。点滴内容、抗生剤の副作用の有無、同意書、家族はだれが来てて、どこにいるかなど、簡潔に申し送ります。
9:10~ オペ後ベッド作成
術衣、T字帯をセットしたベットを、手術室前室のベット置き場に待機させます。
10部屋もあるとベットの待機も満タンになります。
9:20~ 清拭、陰洗
病棟業務に戻ります。 完全部屋もち制だったので、じぶんの持ち場はじぶんで拭き、洗います。
手ぎわよく、トントン回ります。
10:30~ バイタルサイン測定
体温、脈拍、血圧、酸素飽和度、呼吸数を測定します。
消化器外科では、腹痛や腹部膨満、腸蠕動音などを観察します。
12:00~ 点滴更新、尿破棄
持続点滴の更新、尿破棄をします。これは病院によって、〆の時間が異なります。
消化器外科は禁飲食の患者がおおいため、持続点滴も多いです。
持続なのに、早落ちしてしまってインシデントを書く。
新人さんがやりがちな失敗です。
12:00~14:00 交代で休憩
基本1時間休憩があてられてますが、ぜんぜん休めません。
20分休憩もザラです。
ご飯食べられればラッキーくらいの世界でした。
13時ころ 術後説明、オペ迎え、術後管理
朝一手術が終わってくる時間帯です。
手術がおわると、医師が、検体をもって説明室へきます。
家族を案内して、手術の説明をします。
のうぼんに乗った臓器はグロイです。
説明がおわると、ほどなくオペ迎えに呼ばれます。
病棟帰室後、バイタルサイン測定、ドレーンや尿量チェック、疼痛の程度など観察します。
15:00~ パウチ交換、患者指導
人工肛門をストマといいます。
ストマは腹部にありますが、便をうける袋のことをパウチといいます。
ストマをあげた患者にはじぶんでパウチ交換ができるよう、指導を行います。
患者の体格や、ストマの形、腹壁の状況により、看護師がパウチを選択します。
ストーマケアは奥が深く、WOCナースと呼ばれる日本看護協会が認定する皮膚・排泄ケア認定看護師(Certified Nurse in Wound, Ostomy and Continence Nursing)が中心に、ストマをあげる位置を決めたり、ケア困難事例のカンファレンスをおこなったりしています。
16:30~ 申し送り
夜勤者へ手術内容、オペ患の状態など、申し送ります。
ここでもたもたすると、ただでさえイラついている夜勤者に怒られます。
日勤はこのような感じで一日終わります。
その他、入院アナムネがあったり、抗がん剤投与があったり、呼吸器管理があったり、受け持つ患者によりまちまちです。
消化器外科のよいところ
- 点滴管理がとくいになる
- 周手術期看護がとくいになる
- 看護技術のすべてをほぼ網羅できる
- 在宅看護で必要な技術が身につく
- 人工肛門管理が身につく
消化器外科のよくないところ
- とにかく忙しい
- 忙しいので、スタッフの口調が荒い
- 汚物との闘い
- 点滴がとにかく多い
まとめ
日勤はバイタルサイン測定から始まり、オペだし、検査だし、抗がん剤の点滴、人工肛門のケアの指導、輸血、点滴挿入、CV挿入の介助、早期離床の援助、清拭、おむつ交換、食事介助などなど。
それに加え、外科で手術した方が終末期をむかえると外科病棟に入院していたので、ターミナルケアもありました。 時間がいくらあっても足りませんでした。
外科病棟は体力勝負です。
すんごく忙しかったですが、ここでわたしの看護師の基礎ができました。
患者さんとのかかわり方や態度、ことば使い、傾聴の姿勢、笑顔の意味など、ほんとうにたくさんのことを学びました。
新人さんなら外科病棟を希望するのも「あり」だと思います。
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